49歳男、デート代回収に“猫質”!金髪ケチ男の悲しき蛮行と、その深き闇

暗い背景に金髪の中年男性と不安そうな表情の猫。中央に『49歳男、デート代回収に“猫質”!金髪ケチ男の悲しき蛮行と、その深き闇』という白い文字が配置された週刊誌風のアイキャッチ画像。

世の中には、耳を疑うような珍事件が数多存在するが、今回の事件はその中でも「情けなさ」「ケチくささ」「往生際の悪さ」の三部門で金メダルを獲得するに値する、まさにレジェンド級の事件と言えよう。

主役は、東京都足立区西伊興にその身を潜めていた職業不詳・杉本俊広容疑者(49)。交際相手との痴話喧嘩の果てに、返済を要求したのが「慰謝料」でも「手切れ金」でもなく、なんと「デート代」。そしてその回収手段が、人質ならぬ「猫質」というのだから、開いた口が塞がらないとはこのことだ。

49歳といえば、本来であれば社会的な責任を背負い、分別をわきまえているはずの年齢。しかし、彼が起こした行動は、まるで駄々をこねる子供そのもの。このあまりにスケールの小さい犯行の裏には、一体どのような背景が隠されているのか。我々はその深層に迫ってみたい。

目次

前代未聞!戦慄の“猫質”拘束18時間ドキュメント

まずは、改めて事件の概要を振り返ろう。しかし、その手口は振り返るたびに卑劣さと滑稽さが滲み出てくる。

容疑者: 杉本俊広(49)

近所での評判は「金髪小太りで得体の知れないおじさん

悪質な手口

  • 交際女性A子さん(40代)が住む茨城県まで車を走らせ、「使ったデート費用を返せ!」と迫る。
  • 金の要求が通らないと見るや、なんとA子さんの愛猫をキャットタワーごと強奪。愛猫家にとって、それは我が子を誘拐されるに等しい暴挙である。
  • 「猫を返してほしければ車に乗れ」と、A子さんが断れない状況を作り出し、9月4日午後8時から翌日午後2時まで、実に18時間も車内外で拘束し、連れ回した。

    この事件の結末

  • A子さんが機転を利かせ、親族に送信したSOSメッセージが警察に届く。
  • 翌日、容疑者宅にA子さんを連れて戻ってきたところを、張り込んでいた警視庁竹の塚署の捜査員が急襲。営利目的略取の疑いで現行犯逮捕となった。

「金銭関係で口論はあったが、無理やり連れ去ったりはしていない」と本人は容疑を否認しているというが、どの口がそれを言うのか。猫を“人質”ならぬ“猫質”に取り、相手の弱みにつけこんで車に乗せる行為は、どう考えても本人の自由意志を奪った「略取」に他ならない。茨城から東京・足立区までの長い道のり、車内で彼はA子さんに何を語り、何を要求したのか。想像するだけで、A子さんが感じた恐怖と絶望、そして愛猫の身を案じる心痛は計り知れない。

近所が語る“得体の知れないおじさん”の二つの顔

この常軌を逸した男は、一体何者なのか。その人物像を探るべく、近隣住民の証言に耳を傾けてみよう。

金髪小太りで、平日の日中も自宅周辺をプラプラしている得体の知れないおじさんです

捜査関係者ではなくとも、誰もが一目で「要注意人物」と認識しそうな風貌。約1年前に新築の一戸建てにひとりで引っ越してきたというが、「持ち主は別にいるため賃貸物件のはず」という証言からは、彼が見栄と実態の乖離した生活を送っていた可能性がうかがえる。

しかし、驚くべきことに、彼には別の顔もあった。しばらくして同棲を始めたA子さんと共にいる時の彼は、近隣住民の目に「仲の良いカップル」と映っていたのだ。

最初は夫婦と勘違いしたほどです。女性はベランダに洗濯物を干したり、かいがいしく家事をこなしていました。ふくよかで、昔はギャルだったのかなと思わせる雰囲気もあり、なんとなく似た者同士のカップルでした

犬に赤い服を着せてふたりそろって散歩させるなど、とっても仲のよいカップルだったんです。一緒に洗車したり、彼女を助手席に乗せて買い物に出かけたりしていましたね

弱々しく歩くコリー犬を慈しむように散歩させる姿。それは、今回の蛮行からは想像もつかない穏やかな光景だ。この証言から浮かび上がるのは、一見すると平凡な中年カップルの日常である。だが、その日常は、水面下で静かに蝕まれていたのかもしれない。

一体何で生計を? “職業不詳”49歳男の謎めいた日常

ここで一つの大きな疑問が浮かび上がる。彼は一体、何で生計を立てていたのか。

職業不詳」「平日の日中も自宅にいた」という情報から、彼が定職に就いていなかった可能性は高い。それでいて、足立区とはいえ新築一戸建ての家賃を払い、車を維持し、A子さんとのデート費用を捻出していた。その資金源は一体どこにあったのか。

考えられる可能性はいくつかある。親からの遺産や仕送り、あるいは何らかの不労所得か。もしくは、世間には言えないようなグレーな収入源があったのかもしれない。いずれにせよ、彼の生活が、社会との健全な繋がりの中で営まれていなかったことは想像に難くない。

社会との接点が希薄になれば、自己の価値観が絶対的なものとなり、他者への共感能力は著しく低下する。金髪という外見も、彼が精神的に成熟しきれていない「大人になりきれない大人」であったことの表れだとしたら。社会から孤立し、自らの作り上げた小さな世界の中で王様のように振る舞っていた男が、その世界の崩壊(=A子さんとの別れ)に直面した時、その歪んだプライドは暴走を始めたのではないだろうか。

破局のサイレンか? 恐怖を煽る“救急車連続コール”

平穏に見えたカップルの日常が崩壊する予兆は、事件の約1か月前に起きていた。複数の住民が目撃した「救急車騒動」である。

1回目は夜中で、2回目は日中でした。杉本容疑者が外に出てきて“こっちです、こっちです”と救急車を誘導していました

救急隊員はストレッチャーを準備しているのに家から誰も出てこない。杉本容疑者は室内にいる誰かに向かって“早くして”などと急かしていました。結局、誰も搬送されることはなく、救急隊員はストレッチャーを畳んで帰っていきました

これが二日連続で行われたというのだから、異常としか言いようがない。泥酔者がタクシー代わりに救急車を呼ぶというモラルなき通報が社会問題化しているが、これもその類だったのか。あるいは、A子さんとの激しい口論の末、気を引くためや脅すための狂言だった可能性も捨てきれない。

さらに、この家からは断続的に男の叫び声が聞こえていたという。

ときおり、杉本さんらしき男性が“ギャーッ、ウーッ、ワーッ”などと叫ぶ声が聞こえていたんです。酒に酔っているような感じで、夜中の絶叫に安眠を妨げられた住民もいます

救急車のサイレンと、男の絶叫。それは、二人の関係の終焉を告げる不気味なサイレンだったのかもしれない。そして、この騒動の後、A子さんは彼の元から姿を消したのだ。

往生際の悪さも天下一品! 逮捕劇のドタバタ一部始終

そして運命の日。A子さんと猫を乗せた車が自宅前に到着した瞬間、物語はクライマックスを迎える。台風15号が近づき、激しい雨が降りしきる中、張り込んでいた捜査員が男に詰め寄った。

観念しておとなしく縄につく…などという殊勝な態度は、この男には微塵もなかった。

なんで警察が来てるんだ! 女が呼んだのか!

まるで自分が被害者であるかのような剣幕で、不快感をあらわにしたという。この期に及んで、全ての責任をA子さんに転嫁しようとするその思考回路には、もはや驚きを通り越して一種の感動すら覚える。手錠をかけられてもなお抵抗し、連行を拒む。その往生際の悪さは、まさに天下一品だ。

そして、逮捕劇の最後に彼が放った言葉が、彼の未熟さと混乱ぶりを物語っている。

〇〇さーん(A子さんの苗字)、〇〇さーん!

姿の見えない彼女の名前を、雨音にかき消されんばかりに7、8回も連呼したという。それは、裏切られたことへの呪詛の言葉か、あるいは「助けてくれ」という最後の哀れなSOSだったのか。いずれにせよ、49歳男の最期としては、あまりにも惨めで滑稽な光景であった。

数万円のデート代か、歪んだプライドか? 小さすぎる動機の深層心理

そもそも、この事件の動機とされる「デート代の回収」について、我々は深く考察する必要がある。

具体的な金額は報じられていないが、常識的に考えて数万円、多くても十数万円といったところだろう。その金額のために、営利目的略取という最大で懲役10年にもなりうる重罪を犯すリスクを冒すだろうか。常人には到底理解しがたい、あまりにも割に合わない犯行である。

ここから導き出される結論は、彼にとって重要だったのは「金そのもの」ではなかった、ということだ。彼にとっての本当の動機、それは「傷つけられたプライドの回復」と「思い通りにならない相手への支配」だったのではないか。

自分のお金と時間を使ってやったのに、感謝もせず、あまつさえ自分の元から去っていく。そんなA子さんの行動が、彼の肥大化した自己愛とプライドを粉々に打ち砕いた。だから彼は、金を取り返すという名目で、彼女の最も大切なもの=愛猫を奪い、彼女を自分の支配下に置くことで、屈辱を晴らそうとしたのだ。デート代とは、彼の矮小なプライドを正当化するための、ただの口実に過ぎなかったのかもしれない。

猫は無事でも心は… 矮小な男が残した深い爪痕

幸いにも、A子さんにケガはなく、“猫質”に取られた愛猫も無事に保護された。これは不幸中の幸いであった。しかし、事件はそれで終わりではない。

18時間にわたる拘束と脅迫。A子さんが受けた精神的ショックは計り知れない。そして、何より卑劣なのは、言葉を話すことのできない、か弱い動物を犯罪の道具として利用したことだ。これは、全ての愛猫家、愛犬家、ひいては全ての動物を愛する人々に対する冒涜である。

逮捕後、容疑者の自宅玄関前には、解体されたゲームチェアや鍋などが放置されていたという。それは、家を出ていったA子さんの所有物だったのか。決別の意志とも嫌がらせともとれるその光景は、彼の執念深さと器の小ささを如実に物語っている。

今回の事件は、一人の「こじらせた中年男」が起こした珍事件として片付けられるかもしれない。しかし、その根底には、社会からの孤立、歪んだ自己愛、そして他者への共感能力の欠如といった、現代社会が抱える病理が潜んでいる。

法廷では、まさか猫に罪をなすりつけるような「ニャンとも言えない」言い訳はしないでもらいたいものだ。真相解明が待たれるところだが、おそらく明らかになるのは、どこまでも小さく、そして救いようのない男の自己中心的な動機だけだろう。

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