群馬県前橋市で起きている事態は、もはや「対岸の火事」として見過ごすことはできない。部下との不倫密会という公序良俗に反する行為そのものもさることながら、問題の本質は、市民の信頼を根底から裏切った市長・小川晶氏(42)の、その後の信じがたい対応にある。
市議会全会派から「進退申入書」を突きつけられ、市役所に8000件もの苦情が殺到する異常事態。市民の代表である議会への説明を拒否し、タウンミーティングを中止する一方で、擁護派やスポンサー企業とは「秘密の会合」に勤しむ。これは明確な市民への背信行為であり、民主主義の根幹である「説明責任」の完全な放棄だ。
なぜ彼女は辞任しないのか。なぜ市民の声を無視し、保身と権力維持に走るのか。本記事では、小川市長の迷走する行動を5つの側面に分解し、その裏にある欺瞞と、これが全国の自治体に与える深刻な悪影響について、徹底的に断罪する。
小川市長の迷走 姑息な対応が招く5つの混乱
続投を宣言した小川市長だが、その行動は火に油を注ぐばかりだ。市民感情を逆なでする対応は「迷走」という生易しい言葉では済まされない。そこには、市民を軽視し、自らの立場を守ることしか考えていない浅はかな計算が見え隠れする。もはやトップとしての資質はゼロと断言せざるを得ない。
火消しどころか炎上させたコールセンター設置の愚策
まず、市民の怒りを象徴する8000件もの苦情電話への対応策が、その無能さを露呈している。市役所の業務が麻痺することへの「緩和策」として、10月10日に個人事務所に設けたコールセンター。しかし、蓋を開けてみれば、対応するのはわずか数人の事務所スタッフのみ。
当然ながら電話は殺到し、パンク状態。「誰も出ない!」という新たなクレームが、結局は市役所に舞い戻る始末。職員の負担軽減どころか、混乱を助長し、市民の怒りをさらに増幅させた。これは市民の声を「処理すべきノイズ」としか捉えていない証拠だ。一体、誰のための、何のためのコールセンターだったのか。市民の声を真摯に受け止める気があるなら、まず自らが公の場で、議会で、市民の前で説明するのが筋である。こんな小手先の対応でお茶を濁せると考えたのなら、市民を愚弄するにも程がある。
市議会を無視し擁護派集会で熱弁する論理の完全破綻
さらに驚くべきは、市民の代表機関である市議会への態度だ。3日に全会派から「進退申入書」が提出されたにもかかわらず、市長本人が議会で真摯に説明することはなかった。それどころか、10日になって突如、密会相手の幹部職員本人による「事情説明書」なるものが、市長の知人である代理人を通じて市議会に提出された。
これは、市長が当該職員を実質的な管理下に置き、都合の良い弁明をさせたと見られても仕方がない。そして極めつけは13日、市長擁護派の市民が急遽開催した「市民対話会」への出席だ。約120人の「身内」とも言える出席者に対し、「どこかで審判を仰ぐ日が来る」などと熱弁したという。
順番が違う。説明責任とは、まず市議会、つまり全市民に対して果たすべきものだ。自分に都合の良い擁護派の集会でだけ饒舌になり、厳しい追及が待つ議会や一般市民との対話は避ける。これほど分かりやすい「逃げ」があるだろうか。市民の代表である議会を軽視する行為は、民主主義への挑戦であり、市長の資格がないことを自ら証明している。
市政停滞の深刻な実態 市長の保身が招く機能不全の現場
小川市長が「続投」に固執する代償は、計り知れないほど大きい。市長個人のスキャンダルによって、前橋市政全体が停滞し、職員が疲弊し、市民サービスが低下するという最悪の事態が現実のものとなっているのだ。市長の椅子に座り続けることの「代償」は、すべて市民と現場の職員が支払わされている。
秘書課の異常な業務増「女性職員同行」という本末転倒
市長の出張や外回りには、これまで秘書課の職員1名が随行していた。しかし、今回の不祥事を受け、さすがに「男性職員1人」というわけにはいかず、常に「女性職員」も同行させる体制になったという。
これは何を意味するか。市長個人の倫理観の欠如が、何の関係もない職員の業務を無駄に増やしているのだ。ただでさえ市長の不祥事で混乱する中、秘書課には市長に見合うベテラン女性職員の増員が必要となった。しかし、他部署に声をかけても、誰も引き受け手がない状態が続いているという。当たり前だろう。誰が自ら進んで、信頼を失った市長の「お目付け役」のような不名誉な仕事を引き受けたいと思うだろうか。
スキャンダル幹部の後任さえ決まらない人事崩壊
さらに深刻なのは、人事の停滞だ。今回の騒動で異動した部下の幹部職員、すなわち「秘書課長」の後任さえ決まっていないという。市政の要である秘書課長が不在のまま、市役所が正常に機能すると本気で思っているのだろうか。
市長がトップとして機能不全に陥っているだけでなく、そのスキャンダルが原因で組織運営の根幹である人事までが滞る。これは「市政の停滞」というレベルを超え、「市政の崩壊」の序章と言える。小川市長が一日長くその座に留まるごとに、前橋市の行政機能は蝕まれ、その被害はすべて市民に降りかかる。これ以上の職務放棄が許されていいはずがない。
前橋の未来を潰す市長の保身 経済活性化に泥を塗る愚行
市長の役割とは、市民の生活を守るだけでなく、街の未来を切り拓くことにあるはずだ。しかし、小川市長の現在の行動は、その真逆を行っている。自らの保身のために、前橋市が一体となって進める経済活性化の芽を、トップ自らが摘み取っているのだ。
大河ドラマ誘致「鈴木貫太郎」発足式を欠席した名誉顧問の無責任
前橋市は今、商工会議所を中心に、経済活性化の起爆剤として一大プロジェクトを進めている。前橋ゆかりの偉人であり、太平洋戦争を終戦に導いた「救国の宰相」鈴木貫太郎を主人公にしたNHK大河ドラマの誘致活動だ。
昨年、商工会議所や地元有力企業が中心となり「鈴木貫太郎顕彰会」が設立され、小川市長は当然のごとく「名誉顧問」に就任している。しかし、10月15日に行われた「実現する会」の発足式という極めて重要なイベントに、その名誉顧問である小川市長が「欠席」したのだ。
地元有力者の絶望「市長が経済の足を引っ張ってどうする」
今年6月には、石破茂首相(当時)が「民間主導の地方創生のモデル」として前橋市の中心街を視察に訪れ、小川市長は喜々として案内役を務めていた。あの時の笑顔はどこへ消えたのか。「さあこれから」という機運が最高潮に達するべき発足式に、市長本人が不在。これ以上の冷や水があるだろうか。
発足式の出席者からは「市長が地元の経済の足を引っ張ってどうするのか!」という怒りと絶望の声が上がっている。当然の反応だ。自らの不祥事で表に出られないというのなら、それこそが「職務遂行不可能」の証拠であり、即刻辞任すべき理由となる。前橋の未来をかけたプロジェクトよりも、自らの体面を守ることを優先する市長に、市の未来を託すことなど到底できない。
公約破棄と秘密会合 市民を裏切るスポンサーファーストの4つの手口
市民への説明責任から逃げ続ける一方で、小川市長が水面下で奔走している事実が、彼女の「保身」への異常な執着を物語っている。公の場は欠席し、市民との対話は中止。その裏で、自らの支持基盤であるスポンサー企業との「秘密会合」に精を出す。これは有権者に対する完全な裏切り行為である。
2度の中止「タウンミーティング」から逃げ続ける卑劣な姿勢
前橋市は、10月4日に予定されていた1度目のタウンミーティングに続き、同月29日に予定されていた2度目の市長と市民とのタウンミーティングも「中止」すると公表した。
理由は火を見るより明らかだ。市民の前に立てば、厳しい追及と怒号が飛ぶことは避けられない。その「正当な市民の声」から、小川市長は逃げ続けているのだ。選挙の時だけ「市民の声を聞く」と訴え、都合が悪くなれば対話を拒否する。こんな身勝手な論理が通用するはずがない。市民との対話の場を一方的に放棄することは、公約の破棄であり、市長としての職務を放棄したに等しい。
報道シャットアウト「臨時意見交換会」という名の釈明会
市民との対話は拒否する一方で、10月15日の夜、小川市長は驚くべき行動に出ている。市長の企業後援会の会社社長たちに声をかけ、「臨時意見交換会」なる会合を開催したのだ。もちろん、報道陣は完全にシャットアウト。
これは「意見交換会」などという美名で呼べるものではない。単なる「スポンサー企業への釈明と地ならしの会」だ。なぜ、全市民に説明すべき内容を、内々で、特定の利害関係者にだけ説明するのか。市民全体への奉仕者であるべき市長が、自らを金銭的に支える支援者だけを特別扱いする。この癒着とも取れる構造こそが、政治不信の根源である。
続投に向けた「非公開の工作」に費やされる時間
この「秘密会合」は、一つの企業後援会グループに留まらず、別のグループとも同様に持つ予定だという。前橋まつりなどの公式行事や、市民の厳しい目が光るタウンミーティングは二の次にして、水面下で自分の支持者最優先の「非公開の工作」に奔走する。
これのどこが「公務」だというのか。すべては「続投」に向けた根回しであり、保身に走るしたたかな計算以外の何物でもない。彼女に期待し、市政を託した有権者の貴重な1票を、ここまで愚弄する行為が許されるだろうか。
なぜ小川市長は辞任しないのか 権力にしがみつくトップの末路
これほどまでに市民の信頼を裏切り、議会を軽視し、市政を停滞させてもなお、「続投」を宣言するその神経は理解を超えている。彼女は一体、何を守ろうとしているのか。
「成人式までには」曖昧発言に隠された時間稼ぎの意図
小川市長は自身の去就について、市議会への説明(という名の弁明)で「成人式までにはなんとかしたい」と曖昧な発言に終始した。この「なんとかしたい」の中身が、一連の「非公開の工作」だったことは今や明らかだ。
これは、市民の怒りが時間とともに風化するのを待つという、典型的な時間稼ぎの手法だ。市民の記憶力と良識を甘く見ているとしか思えない。しかし、不祥事を起こしたトップが説明責任を果たさず、時間稼ぎによってその座に居座り続けるという「悪しき前例」を、ここで作ってはならない。
この居直りを許すな 全国に広がる悪しき前例の危険性
今、前橋市で起きていることは、単なる一地方都市のゴシップではない。公序良俗に反する行為を犯した首長が、市民や議会への説明責任を果たさないまま、支持基盤さえ固めれば「居直り」が許される。そんな前例を作ってしまうことの危険性を、我々は直視しなければならない。
もし小川市長のこの「居直り続投」がまかり通るなら、全国の他の市長や政治家も、「不祥事を起こしても、議会を無視し、支援者さえ固めれば逃げ切れる」と学習してしまうだろう。それは、日本の地方自治、ひいては民主主義の自殺行為に他ならない。
結論:前橋市民と全国の有権者が下すべき最後の審判
小川晶市長に期待し、1票を投じた前橋市民の失望と怒りは察するに余りある。だが、もはや彼女に自浄作用を期待することは不可能だ。彼女が守ろうとしているのは「前橋市政」でも「市民の生活」でもなく、ただひたすらに「市長という自らの地位」だけである。
この問題は、前橋市民だけの問題ではない。税金で報酬を得る公職者が、市民を裏切った時にどう責任を取るべきか。その答えを、全国の有権者が厳しく見つめている。信頼を失い、説明責任を放棄し、保身に走るトップが居座ることを許す社会であってはならない。小川市長が自らその職を辞さないのであれば、残された道は一つ。法的な手続き、そして最終的には有権者の手による「審判」によって、その座から引きずり下ろす以外にない。
