Netflix『ヘル・レイザー』2022年版の評価は?賛否が割れる5つの理由

赤い円形模様とピンヘッドの姿を背景に、Netflix『ヘル・レイザー』2022年版の評価と賛否が割れる5つの理由を示したアイキャッチ画像

10月14日からNetflixで配信が始まった『ヘル・レイザー』は、1987年の旧作ではなく、2022年にデヴィッド・ブルックナー監督が作り直した新作です。リメイク版と呼ばれがちですが、監督本人はリメイクではない、と明言しています。

Rotten Tomatoesのスコアは批評家68%、観客57%で、評価ははっきり割れています。私の結論は、旧作の妖しい色気を期待すると肩透かしを食らうが、別の作品として観れば見る価値はある、です。この記事では、どちらが正しいかではなく、なぜ割れるのかを5つの理由に分けて整理します。

目次

結論:Netflixの『ヘル・レイザー』は2022年版。旧作とは別物として観れば当たりです

10月14日からNetflix日本で見放題になった『ヘル・レイザー』は、1987年の旧作ではなく、2022年にデヴィッド・ブルックナー監督が作り直した新作です。評価データと批評を読み込んだ上での私の見立ては、見る価値はある。ただし旧作の妖しい色気を期待すると肩透かしを食らう、です。評価がはっきり割れている作品なので、この記事ではどっちが正しいか、ではなくなぜ割れるのか?を整理します。

作品情報:配信日・料金・基本データ

配信開始は10月14日。新着欄でTOP10入りもしている

Netflix日本での配信開始は2026年10月14日(水)です。10月21日時点でも新着作品の列に並んでいて、TOP10の表示が付いていました。ダウンロード視聴にも対応しています。

料金は作品ページ掲載時点で月890円から

Netflix日本の作品ページでは、広告つきスタンダードが月890円、スタンダードが1,590円、プレミアムが2,290円と表示されています。この作品だけのために入るなら、広告つきで十分です。料金は変わることがあるので、加入前に公式ページで確認してください。

基本データ

  • 製作年:2022年(Netflixの表記はホラー、16+)
  • 監督:デヴィッド・ブルックナー
  • 主な出演:オデッサ・アジオン、ジェイミー・クレイトン、アダム・フェイソン
  • 上映時間:121分(Rotten Tomatoes掲載値)
  • 音声:英語(オリジナル)、日本語吹替
  • 字幕:英語、日本語

作り手とキャスト:誰が撮って、誰が出ているのか

監督は『The Night House』のデヴィッド・ブルックナー

監督のデヴィッド・ブルックナーは、ホラー映画『The Night House』を手がけた人物です。脚本は、その『The Night House』でも組んだベン・コリンズとルーク・ピョトロフスキが担当しています。気心の知れたチームで、シリーズのやり直しという重い仕事に挑んだ形です。

主演はオデッサ・アジオン、ピンヘッド役はジェイミー・クレイトン

主人公ライリーを演じるのはオデッサ・アジオンです。ピンヘッドにあたるセノバイトの首領を演じるのは、『Sense8』で知られるジェイミー・クレイトンで、劇中では司祭という呼び名で登場します。ほかにドリュー・スターキー、アダム・フェイソン、ブランドン・フリン、ゴラン・ヴィシュニック、ヒアム・アッバスらが出演しています。

原作は1986年の『ヘルバウンド・ハート』。シリーズ11作目にあたる

原作はクライヴ・バーカーが1986年に書いた中編小説『ヘルバウンド・ハート』です。2022年版は、シリーズの11作目として位置づけられています。Inverseの取材記事によると、バーカーがシリーズに直接関わるのは1996年以来のことでした。2000年から2018年にかけてビデオ直販の続編が続いたあとだけに、この原作者の復帰は、旧作ファンが新作を観る大きな動機になっています。

「リメイク」と呼ぶのは半分だけ正解。実態は再構築です

監督本人が「リメイクではない」と言っている

ブルックナー監督はEWの取材で、この作品はリメイクではないと明言しています。ヘルレイザーの世界を舞台にした新しい物語、という位置づけです。世間ではリメイク版と呼ばれることも多いですが、正確にはリブートや再構築版と呼ぶべき作品で、監督自身がリメイクを否定している、というのが実態です。

クライヴ・バーカーも制作側に入っている

原作者のクライヴ・バーカーはプロデューサーとして参加しています。ブルックナー監督は、バーカーがかなり深く関わってくれて、とても寛大だったと語っています。続編が乱造された時期を経て、原作者が現場に戻ってきた点は、旧作ファンにとって大きい安心材料です。

邦題が同じで検索が混ざる

日本では1987年版も2022年版もヘル・レイザーの表記で出回っています。見分ける一番簡単な方法は上映時間で、1987年版は93分、2022年版は121分です(Rotten Tomatoes掲載値)。ちなみに1987年版は、JustWatchの日本向け情報ではHuluとAmazon Prime Videoで見放題と表示されていて、Netflixでは見られません。

2022年の公開の経緯:もともとはHulu独占だった

米国ではHuluだけで公開された

この作品は2022年10月7日に、米国ではHuluで配信されました。当時の報道では、米国ではHulu独占の扱いでした。同じ時期のNetflixの記事も、米国のNetflixでは観られないと伝えていました。それから4年が経って、日本のNetflixに入ってきたことになります。旧作ファンにとっては、見逃していた2022年版に追いつくちょうどいい機会です。

米国ではR指定。日本のNetflixでは16+

米国ではR指定で、Rotten Tomatoesの作品ページにもそう表示されています。Huluの作品についての報道では、強い流血描写と露骨なヌードが理由として挙げられていました。日本のNetflixの年齢表記は16+です。家族が近くにいる環境で観る作品ではない、と私は思います。

旧作を観ていない人のための予備知識は2つだけ

パズルボックスは異界への入口

シリーズの中心にあるのは、ラメント・コンフィギュレーションと呼ばれるパズルボックスです。これを解くと、地獄のような異界の扉が開きます。新作でも、この箱が物語を動かします。

セノバイトは、もとは人間だった異形の存在

扉の向こうから現れるのが、セノバイトと呼ばれる存在です。もとは人間だった異形で、人間の魂を回収し、苦痛と快楽が入り混じった実験を行います。ピンヘッドは、そのリーダーです。

これだけ知っていれば、置いていかれない

新作は旧作の続きではなく、別の物語として作られています。だから、上の2つを頭に入れておけば十分です。細かい設定を予習する必要はない、というのが私の結論です。

あらすじ(ネタバレなし)

依存症の若い女性が、開けてはいけない箱を手に入れる

Netflixの紹介文によると、依存症に苦しむ若い女性が、古代から伝わるパズルボックスを手に入れます。それが残虐な魔道士たちを呼び出すものだとは知らずに、という導入です。主人公はオデッサ・アジオンが演じるライリーです。旧作を観ていなくても、この説明だけで入れる作りだと私は判断しています。

見どころはセノバイトの造形

ジェイミー・クレイトンはBloody Disgustingのインタビューで、監督から見せられたデザイン画に圧倒されたと語っています。しかも、あの異形がすべて皮膚でできていると聞いて、完全に言葉を失ったそうです。さらに、ブルックナー監督は遊び心があり、繊細で知的な演出をしてくれる人で、一緒に演技を作ろうという姿勢が嬉しかったとも話しています。この作品は、ストーリーより先にあの異形の見た目をどう更新したか、で語られることが多いです。そこを一番の入口にして構いません。

監督はセノバイトを「鎖を撃ち出す異次元のBDSM的存在」と説明した

Den of Geekの取材で、ブルックナー監督はセノバイトを、古い迷宮から鎖を撃ち出してくる異次元のBDSM的な存在だと説明しています。大げさに聞こえますが、シリーズの核心をかなり正確に言い当てた説明です。この痛みと快楽が同居している、という芯を、新作がどこまで残したかが、後の賛否に直結します。

数字で見る評価:批評家は寄り、観客は辛口

批評家68%、観客57%

Rotten Tomatoesでは、批評家スコアが68%(148件)、観客スコアが57%(1,000件以上)です。批評家の総評は、凡庸な続編が続いたあとの贈り物という趣旨です。一方、観客の総評は、他の続編よりは良いが旧作ほど怖くも刺激的でもない、という趣旨です。同じ作品でも、評価する側で温度がだいぶ違います。

Metacriticは50台半ば

Metacriticの加重平均は、集計サイトによって55から57と記載にばらつきがあります。いずれにしても「絶賛でも酷評でもない中間」という位置づけです。数字の細かい差より、手放しで褒める人は少ないが、切り捨てる人も少ない、という分布のほうが大事だと私は考えています。

1987年版との比較は、批評家では互角、観客では旧作が上

同じRotten Tomatoesで、1987年版は批評家71%(56件)、観客73%です。批評家の評価は2022年版とほぼ並びますが、観客の評価は旧作が16ポイント高いです。旧作の記憶が最強という構図が、数字にも出ています。

公開直後は85%あった

公開直後の報道では、Rotten Tomatoesのスコアは85%で、旧作の70%を上回っていると伝えられていました。それが現在は68%に落ち着いています。これは私の見方ですが、早い時期に出る批評はジャンルに好意的な媒体が多く、数字が高く出やすい。最終的な評価は良作寄りの中間と読むのが実態に近いと思います。

批評家の褒め方は「続編群よりは明らかに良い」が中心

Rotten Tomatoesに載っている批評の中には、シリーズの中で3番目に良い出来だという評があります。ただし、5作目から11作目を実際に観た人でないと、その安堵感は分からないという皮肉も添えられています。つまり、褒め言葉の多くは過去の続編と比べての評価です。旧作と並べて絶賛している批評は、私が読んだ範囲では多くありませんでした。

なぜ賛否が割れるのか:5つの理由

理由1:ピンヘッドが別人になった

旧作でピンヘッドを演じたダグ・ブラッドレイは、シリーズ8作で同じ役を続けました。新作はジェイミー・クレイトンが演じる女性のピンヘッドです。ブルックナー監督は、最初から女性にするつもりで、クレイトンが適任だったと説明しています。バーカー自身も、新しい俳優がブラッドレイの演技を再現しようとしても成立しない、という点で監督と同意見でした。クレイトンの演技は初期の批評で絶賛されたので、割れているのは出来そのものよりピンヘッド=ブラッドレイという記憶の強さのほうです。

理由2:旧作の倒錯した色気が薄い

初期レビューの中には、旧作を旧作たらしめていたいかがわしい色気が抜けた再生だ、という趣旨の評がありました。一方で、血と皮膚の描写は十分で、血に飢えた観客も満足できるという評もあります。私の整理では、新作は痛みと快楽の境界という妖しさを弱めて、ホラーとしての見た目の強さに寄せた作品です。どちらを求めるかで、評価が反転します。

理由3:121分は長いのか、厚いのか

1987年版の93分に対して、2022年版は121分で、28分長いです。この差を世界観の厚みと取るか、間延びと取るかで、感想が割れやすいと私は見ています。ホラーとしては標準より長めなので、夜に一気見するなら体力は要ります。

理由4:比べる相手で点数が変わる

公開時の報道では、シリーズの続編には0%や10%台のスコアのものもあったと伝えられています。その流れで観ればやっとまともなヘルレイザーが来たかな?と感じ、旧作と並べて観れば物足りない。比較対象を何にするかが、そのまま点数の差になっています。

理由5:主人公に感情移入できるかどうか

Rotten Tomatoesの観客レビューには、真逆の声が並んでいます。キャスト、音楽、セノバイト、金属が擦れる音の気持ちよさを挙げてシリーズで一番好きと書く人がいる一方で、主人公が身勝手で愚かに見えて同情できないと書く人もいます。依存症を抱えた主人公をどう受け止めるかで、物語への没入度が大きく変わる作りです。ここは好みの問題で、どちらが正しいとは言えません。

どんな人に向いているか

向いている人

  • 旧作を観ていなくても、新しいホラーを探している人
  • 異形のクリーチャー造形や特殊メイクが好きな人
  • 近年の続編に失望して、シリーズから離れていた旧作ファン
  • 原作者が関わった作品なら、一度は確かめておきたい人

向いていない人

  • 1987年版と同じ手触りを期待している人
  • グロテスクな描写が苦手な人(Netflixの年齢表記は16+です)
  • 2時間超の作品に集中する時間が取れない人

観る順番はどうするか:旧作が先か、新作が先か

私のおすすめは新作から。ただし条件つき

新作は旧作の知識がなくても理解できる作りなので、Netflixで新作を観て、気に入ったらHuluやPrime Videoで旧作に進む順番がいちばんストレスが少ないと考えています。旧作を先に観ると、どうしても比べてしまうからです。

旧作を先に観たほうがいい人もいる

1987年版が好きで、旧作のファンとして新作の変更点を楽しみたい人は、旧作の記憶が新しいうちに観るほうが違いがはっきり分かります。ピンヘッドの変更やトーンの違いも、旧作を直前に観ているほうが、納得も批判もしやすいです。

いま、ヘルレイザーがまた動いている

ゲーム版が10月8日に発売された

Saber Interactiveの『Clive Barker’s Hellraiser: Revival』が、2026年10月8日にPlayStation 5、Xbox Series X/S、Switch 2、Windowsで発売されました。Gizmodoは、このゲームをシリーズにとって久々の明るい話題として伝えています。Netflixでの配信は、このタイミングと近く、ヘルレイザーを知る入口がいま増えている時期です。

バーカーは映画の新作にも意欲を見せている

Gizmodoによると、バーカーはDread Centralの取材で、ゲームを「目を覚まさせる一撃」と表現し、映画や他のメディアでヘルレイザーを再び手がけたいと語っています。コミックもこの年と翌年に出ているとのことです。新作映画の発表はまだないので、期待しすぎない程度に待つのが現実的です。

HBOのドラマ版は、まだ動きなし

2019年に発表されたHBOのドラマ化は、10月18日付のGizmodoによると、新しい動きは発表されていません。今回のNetflix配信とは別の企画なので、混同しないように注意してください。

総評

結論はシンプルです。Netflixの『ヘル・レイザー』は、旧作の代わりではなく、旧作の隣に置く別の作品として観れば楽しめます。

  • 初見の人は、広告つきプランで一度観てみる価値があります。
  • 旧作ファンは、ピンヘッドが別人になることと、倒錯した色気が薄いことを覚悟して観てください。
  • 評価が割れる原因は出来の悪さではなく、期待値の置き場所です。

1987年版と比べたくなる気持ちは分かりますが、まず白紙の状態で121分を観て、そのあとで旧作に戻るのが一番ストレスの少ない順番だと私は思います。

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