『ヴァチカンのエクソシスト』(2023年)は、実在の悪魔祓い師の著書に着想を得た、オカルト捜査劇とバディ映画の混成作です。本稿では、確認できた作品情報、興行データ、国内外の批評を整理したうえで、評価が割れる構造をジャンル面から分析します。事実と考察は見出しで区別し、確認できなかった事項は不明と明記します。中盤以降の設定に軽く触れるため、ネタバレが気になる方はご注意ください。
結論|恐怖の独創性ではなく、主人公の造形と調査劇で見せる娯楽作
評価の要点は3つに整理できる
本作の評価は、5点満点で3.5前後が妥当と考えられます。根拠は3点です。第一に、ラッセル・クロウ演じるアモルト神父の存在感が作品全体を牽引していること。第二に、悪魔祓いに歴史ミステリーの要素を重ねた構成が、儀式描写の反復を避ける役割を果たしていること。第三に、恐怖演出そのものには既視感があるとの指摘が海外批評で目立つことです。
世界興収は約7,699万ドルで、うち約74%が北米以外の市場から得られています。批評家の評価は割れ、日本でもキャラクターへの支持とホラーとしての新鮮さへの評価が分かれました。以下、順に根拠を示します。
作品の基本情報|公開時期・区分・クレジットを確認する
公開日、上映時間、映倫・MPAA区分
日本での正式な作品名は『ヴァチカンのエクソシスト』、原題は『The Pope’s Exorcist』で、直訳は「教皇の悪魔祓い師」です。ソニー・ピクチャーズの公式情報によると、日本公開は2023年7月14日、上映時間は103分、配給はソニー・ピクチャーズ エンタテインメント。北米公開は2023年4月14日でした。映画.comは製作国をアメリカ・イギリス・スペインの合作と記載しています。
区分は日本がPG12、米国がR指定です。ただし、レーティング制度は国ごとに審査基準が異なるため、この差を作品の怖さの違いとして読むことはできません。
原案と脚本は別のクレジット
監督は『オーヴァーロード』『サマリタン』のジュリアス・エイヴァリー、脚本はマイケル・ペトローニとエヴァン・スピリオトポウロスです。英国ソニーの公式ページでは、原案にあたるScreen Storyをペトローニ、R・ディーン・マクレアリー、チェスター・ヘイスティングスの3名としています。実在の神父の著書をもとに物語の骨格を作る工程と、場面や台詞に落とし込む脚本工程は、クレジット上も区別されています。
プロデューサーはダグ・ベルグラッド、マイケル・パトリック・カツマレク、ジェフ・カッツ。製作総指揮はジョー・ホームウッド、ソフィー・キャシディ、エドワード・J・シーバートです。映画.comによれば、撮影はカリッド・モタセブ、美術はアラン・ギルモア、編集はマット・エヴァンス、音楽はジェド・カーゼルが担当しています。
キャスト|神父2人と少年の家族が物語の軸
- ガブリエーレ・アモルト神父:ラッセル・クロウ(主人公の悪魔祓い師)
- トマース・エスキベル神父:ダニエル・ゾヴァット(『ドント・ブリーズ』『イット・フォローズ』に出演)
- ジュリア:アレックス・エッソー(憑依される少年の母親)
- 教皇:フランコ・ネロ
- ヘンリー:ピーター・デソウザ=フェイオニー(憑依される少年)
- エイミー:ローレル・マースデン(ヘンリーの姉)
- 悪魔の声:ラルフ・アイネソン(専門媒体Bloody Disgustingの記事による)
日本語吹替版は、アモルトを楠大典、トマースを田部圭祐、ジュリアを渡辺明乃、教皇を平林剛が担当しています。配給会社は本作をクロウのホラー映画初主演として宣伝しました。
あらすじと「実話」の線引き
あらすじ|悪魔祓いが、教会の過去をたどる調査劇へ広がる
舞台は1987年7月。アモルト神父は教皇の依頼を受け、スペインのサン・セバスチャン修道院へ向かいます。そこにいた少年は異様な言動を見せ、アモルトの過去まで言い当てます。神父は若いトマース神父とともに、修道院に残る古い記録、中世の宗教裁判、地下に隠された存在へと調査を進めます。
構成上の特徴は、憑依された少年の救出という局所的な事件が、教会という組織の歴史へ接続される点です。悪魔祓いの儀式を主軸に据える作品とは異なり、謎の段階的な開示で物語を推進します。なお、ここで述べた1987年の事件や修道院の秘密は映画の設定であり、歴史資料で実証された事実ではありません。
実在の神父と原作|モデルは確認できるが、事件の実在とは別問題
モデルとなったガブリエーレ・アモルト神父は1925年生まれ、2016年没の実在の人物です。公式に挙がる原作は『An Exorcist Tells His Story』と『An Exorcist: More Stories』で、日本の宣伝では『エクソシストは語る』とその続編として紹介されました。配給会社によると、プロデューサーのカツマレクは神父の生前に映画化権を取得しています。
確認できるのは、企画の出発点に実在の人物と著書があったという範囲です。宣伝文句にある数万回の悪魔祓いも、活動の規模を示す紹介であり、個々の事例で超自然的存在が客観的に立証されたという意味ではありません。
「実話」表記をどう扱うか
エイヴァリー監督はFANGORIAの取材で、本作を厳密な伝記として作る意図はなかったと説明しています。実在の人物を出発点に、より幻想的な物語へ広げる狙いで、『インディ・ジョーンズ』との共通性にも触れています。以上から、本作は実在の悪魔祓い師の著書に着想を得た娯楽映画と記述するのが、資料と制作者の発言の双方に沿った表現です。実話と断定する書き方は、劇中の1987年の事件まで事実と受け取られかねず、適切ではありません。
制作の背景|誰が、何を狙って作ったのか
ホラー好きではないクロウが、人物に惹かれて出演を決めた
Entertainment Weeklyのインタビューで、クロウは自身が特別ホラー好きなタイプではないと述べています。出演の動機として挙げたのはアモルトという人物への関心で、仕事を詳細に記録した著書が役作りの材料になったと説明しました。ジャンルありきではなく、人物ありきで企画に参加した点は、完成した作品がキャラクター中心の構成になった理由として整合的です。
監督が語った人物像|組織に馴染まない専門家
エイヴァリー監督はTheWrapの取材で、脚本から『ダーティハリー』や『刑事コロンボ』のような人物像を連想したと語っています。信仰は揺るがないのに、組織とは摩擦を起こす。この矛盾が魅力だという説明です。悪魔祓いの専門家を、教会という組織の内側にいながら外側の視点を持つ人物として設計していることがわかります。後半の教会の秘密をめぐる展開は、この人物設計と結びついています。
特殊メイク、視覚効果、撮影地
BusinessMirrorによると、少年ヘンリー役の特殊メイクには約3時間を要し、鼻や額、顎周辺などに造形を加えています。デソウザ=フェイオニー本人は完成した姿を見るのが楽しかったと話しており、画面上の苦痛と現場での受け止め方には落差があります。ベルグラッドは、オーディションの段階で悪魔の声まで演じたことに驚いたと述べています。
視覚効果は、Alt.vfxが公式実績ページでクリーチャー表現や悪魔の襲撃場面への参加を公表しています。特殊メイクとデジタル合成が併用されたことは確認できますが、全場面の作業内訳や費用配分は確認できませんでした。撮影はクロウの証言で主にアイルランド、一部がローマとされ、アイルランドの地域映画窓口Screen Wicklowも現地撮影作品として掲載しています。劇中の舞台であるスペインとは別です。
興行収入の分析|数字の定義を押さえて読む
世界興収は約7,699万ドル、北米以外が約74%
Box Office Mojoの掲載値は次のとおりです。なお同サイトのDomesticは日本国内ではなく、米国・カナダを中心とする北米市場を指します。
- 北米:20,009,380ドル
- 北米以外:56,978,241ドル
- 世界合計:76,987,621ドル
- 北米オープニング週末:9,006,368ドル
北米以外の割合は56,978,241÷76,987,621×100で約74.0%、北米以外の収入は北米の約2.85倍です。さらに、北米の最終興収をオープニング週末で割ると約2.22倍となります。これは掲載値から算出した数字で、他作品との比較は行っていませんが、北米では初動に比重のかかった推移だったことが読み取れます。北米だけで評価すると過小に見える作品で、海外市場の貢献が大きいことが特徴です。
製作費比約4.28倍は「利益率」ではない
製作費はBloody Disgustingなどが約1,800万ドルと報じています。世界興収を割ると76,987,621÷18,000,000で約4.28倍です。ただし、この倍率を採算の指標として使うには注意が必要です。興行収入は劇場と配給側で分配されるうえ、宣伝費や配給費も別にかかります。差額の約5,899万ドルを純利益と読むことはできません。さらに、1,800万ドルは報道値で、監査済みの決算ではありません。したがって製作費の4倍強を世界で稼いだ、までが確認可能な範囲で、最終的な純利益は不明です。
日本市場|初登場11位から、口コミと応援上映で支持を広げた
興行通信社の2023年7月14日〜16日のランキングで、本作は初登場11位でした。全国ランキングの上位を独占した作品ではありません。その後、THE RIVERが2023年8月の記事で日本興収2億円超えを報じ、神父コンビがSNSで話題になったこと、ファンアートがカッツやクロウにも届いたことを紹介しています。
注意すべきは、2億円超えがその記事時点の数字であることです。今回確認した資料では、最終的な確定興収を特定できませんでした。公開途中の数字を最終成績として記載することは避けるべきです。
THE RIVERは2023年8月22日の応援上映にも言及しています。さらに塚口サンサン劇場の公式サイトには、2026年8月10日にカッツを迎えるトークイベントと応援上映の告知が残っています。公開から3年が経過した時点でも、登場人物を応援しながら楽しむ鑑賞形態が企画されたことは、ファン文化の持続を示す具体的な記録です。ただし、告知の存在と当日の実施内容・動員数は別に扱う必要があります。
評価が割れる構造|指標の違いと、批評の論点
海外の評価指標|Rotten TomatoesとMetacriticは測るものが違う
Rotten Tomatoesの取得ページでは、批評家の肯定評価は50%(110件)、購入確認付き観客評価は80%(500件以上)でした。この50%は、肯定的と判定された批評の割合であり、平均点が50点という意味ではありません。観客の80%も、同サービスで評価した利用者の数字で、世界の観客全体の調査結果ではありません。
Metacriticでは、批評家19件に基づくMetascoreが45/100、ユーザー評価が134件で5.7/10でした。Metascoreは各批評を点数化して集計する方式のため、肯定率とは意味が異なります。批評家は酷評、観客は絶賛という整理は強すぎます。実際には、批評家は割れ、観客もサービスによって温度差があるというのが正確です。
海外批評の論点|クロウの魅力と、恐怖の新鮮さ
英国Empireのキャサリン・ブレイは、ベテランと新人の警官を神父に置き換えたバディ映画として本作を捉えています。ただし、映画がクロウの演技に大きく依存し、彼が登場しない場面では関心が弱まると指摘しました。RogerEbert.comのマット・ゾラー・サイツは、悪魔祓い映画としての既視感が強く、ヴァチカンの陰謀と教会の不祥事を結ぶ部分も不十分だと批判しています。恐怖をじっくり育てるより、出来事を忙しく進める作りだという見方です。
一方、Metacriticに掲載されたPolygonのオースティン・ゴスリンの評は、古典的な『エクソシスト』の域には届かないとしつつ、設定の荒唐無稽さを引き受ける姿勢を肯定しています。作品の特徴自体は共通して認識されており、争点は恐怖の独創性を重く見るか、勢いのある娯楽として受け止めるか、という評価軸の違いにあります。
日本の評価|安心感と神父コンビが支持された
取得できたページ上では、Filmarksが5点満点中3.6、映画.comが3.5でした。投稿者の構成や集計方法が異なるため、海外の肯定率とは横並びにできません。シネマトゥデイの映画短評では、くれい響が主人公の親しみやすさや音響の効果、村松健太郎がクロウの安心感と謎解きから相棒関係へ広がる構成を評価。なかざわひでゆきは冒険映画的な面白さ、相馬学は調査劇と人物像に注目しています。いずれも個々の批評家の評価であり、日本全体の総意ではありません。
Filmarksの取得ページには、神父2人の関係や主人公のユーモアを楽しむ投稿と、定番表現の反復に不満を示す投稿の両方があります。国内でも、登場人物への愛着とホラーとしての新しさへの評価は分かれています。
宗教団体の批判|声明の対象は予告編
国際エクソシスト協会は2023年3月7日、本作の予告編に関する声明を公表しました。悪魔祓いの描写の信頼性や、悪魔ばかりを強調する恐ろしい見せ方に異議を述べています。これをヴァチカンが映画を公式に否定した、と書き換えるのは誤りです。確認できたのは同協会が出した声明であり、対象は映画本編ではなく予告編です。声明の主体と対象を区別することが、情報の正確さに直結します。この反応は、映画としての面白さと宗教儀礼の表現としての適切さが別の評価軸であることも示しています。
作品分析|ここからは資料に基づく考察
オカルト捜査劇とバディ映画の混成という構造
以下は、確認できた設定、制作者の発言、国内外の批評を踏まえた解釈であり、制作側が同じ意図を公言したという意味ではありません。
本作は、憑依ホラーの形式に、謎の段階的な開示(捜査劇)と、経験差のある2人の協働(バディもの)を重ねた作りと整理できます。憑依ホラーは、症状の悪化と儀式の山場が反復されやすい形式です。そこに調査の進展という別の推進力を加えることで、物語の推進力を儀式の恐怖だけに依存させない設計になっています。ブレイの相棒映画という指摘や、日本の批評家が評価した謎解きから相棒関係への展開は、この構造を別の角度から捉えたものと読めます。
頼もしい主人公は、恐怖の強度を下げる両刃の剣
アモルトが現場に入ると、観客の感情は被害者と一緒におびえる、状態から専門家の手際を見守る状態へ移行します。経験とユーモアを備えた人物は、怪異に翻弄される家族にとって救いであり、観客にとっても心理的な足場になります。
一方、この安心感は恐怖の強度を下げる作用も持ちます。圧倒的な無力感を求める観客には、主人公の余裕が緊張を薄めて映ります。国内で評価されたクロウの貫禄と、海外で指摘された恐怖の弱さは、同じ設計の表と裏と考えるのが妥当です。怖くないから失敗、楽しいから傑作と単純化せず、何を期待して鑑賞するかで評価が変わる作品と位置づけるのが適切でしょう。
教会の歴史を悪魔で説明する危うさ
批評上の留意点も挙げておきます。本作は、修道院の秘密や宗教裁判の記録を怪異の謎解きと結びつけています。この仕掛けは、目の前の少年だけでなく、建物や組織の過去にも観客の関心を向ける効果があります。
ただし、歴史上の加害や組織の責任が超自然的な悪の仕業として語られると、人間が何を行い、誰が責任を負うべきだったのかが見えにくくなります。これは映画の読み方についての問題提起であり、本作が現実の教会を免責する目的で作られたと断定するものではありません。娯楽的な陰謀の仕掛けとして機能することと、歴史の説明として妥当であることは、分けて評価する必要があります。サイツが指摘した、陰謀と不祥事を結ぶ部分の不十分さも、この論点と重なります。
鑑賞前の指針と、現時点で不明な点
向く人・向かない人
向いているのは、悪魔祓いに謎解きや相棒ものの面白さも求める人です。主人公の癖やユーモアを楽しめるかどうかが、満足度を大きく左右します。向かないのは、儀式の厳密な再現、事件の歴史的検証、徹底した無力感だけを求める人です。実在の人物がモデルであっても、宗教ドキュメンタリーの代替にはなりません。
続編と、確認できなかった事項
続編については2023年から開発報道があり、2026年9月21日のBloody Disgustingは、クロウが再演に関心を示したと伝えています。ただし、関心の表明と撮影・公開の確定は別です。今回確認した資料では、確定した公開日や制作体制は確認できませんでした。
同様に、日本の最終確定興収、宣伝費を含む総費用、劇場・配信・ソフト販売を合計した最終利益も不明です。評価サイトの数値は閲覧時期や集計更新で変動し、本記事の数字は2026年10月15日の調査で取得できた表示値です。
出典
- ソニー・ピクチャーズ日本公式・作品情報:https://www.sonypictures.jp/he/2530827
- ソニー・ピクチャーズ日本公式・公開発表:https://www.sonypictures.jp/corp/press/2023-05-12
- 映画.com・作品情報:https://eiga.com/movie/99289/
- Sony Pictures英国公式・クレジット:https://www.sonypictures.co.uk/movies/popes-exorcist
- TheWrap・監督インタビュー:https://www.thewrap.com/popes-exorcist-director-julius-avery-russell-crowe-interview/
- FANGORIA・監督インタビュー:https://www.fangoria.com/pulp-horror-julius-avery-on-the-popes-exorcist/
- Entertainment Weekly・クロウのインタビュー:https://ew.com/movies/the-popes-exorcist-russell-crowe-interview/
- BusinessMirror・少年役と特殊メイク:https://businessmirror.com.ph/2023/04/18/child-actor-plays-devils-chosen-one-in-the-popes-exorcist/
- Alt.vfx・制作実績:https://www.altvfx.com/work/the-popes-exorcist/
- Screen Wicklow・現地撮影作品一覧:https://screenwicklow.ie/locations/filmed-in-wicklow/
- Box Office Mojo:https://www.boxofficemojo.com/title/tt13375076/
- Bloody Disgusting・製作費、キャスト、続編初期報道:https://bloody-disgusting.com/exclusives/3759492/popes-exorcist-sequel-in-early-development-exclusive/
- Bloody Disgusting・2026年9月の続編報道:https://bloody-disgusting.com/news/3968545/popes-exorcist-2-russell-crowe-update/
- 興行通信社・2023年7月14日〜16日ランキング:https://www.kogyotsushin.com/archives/topics/t8/202307/18155842.php
- THE RIVER・日本興行とファンの反響:https://theriver.jp/the-popes-exorcist-us-netflix/
- Rotten Tomatoes:https://www.rottentomatoes.com/m/the_popes_exorcist
- Metacritic:https://www.metacritic.com/movie/the-popes-exorcist/
- Empire・批評:https://www.empireonline.com/movies/reviews/the-popes-exorcist-review/
- RogerEbert.com・批評:https://www.rogerebert.com/reviews/the-popes-exorcist-movie-review-2023
- Filmarks:https://filmarks.com/movies/108655
- シネマトゥデイ・映画短評:https://www.cinematoday.jp/movie/T0028779/review
- 国際エクソシスト協会・予告編声明:https://www.aieinternational.it/comunicato-stampa-circa-il-trailer-del-film-lesorcista-del-papa/
- 塚口サンサン劇場・イベント告知:https://www.crents-ve.co.jp/8-10%E6%9C%88%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%81%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%86/
総評|人物造形と調査劇で見せる、評価軸次第で印象が変わる娯楽ホラー
『ヴァチカンのエクソシスト』は、恐怖の新しさで勝負する作品ではなく、クロウ演じる神父の存在感、歴史ミステリー、バディ関係を組み合わせて観せる娯楽作です。世界興収は約7,699万ドルで、北米以外が約74%を占めました。ただし、製作費比の倍率から利益を断定することはできず、最終的な収益は不明です。
評価が割れる主因は、出来の良し悪しよりも、鑑賞者が恐怖の独創性と娯楽性のどちらに重心を置くかにあります。実話という宣伝は、実在の人物に着想を得たという範囲で受け止め、神父コンビの掛け合いと謎解きを楽しむ姿勢で観るのが適切です。その期待値であれば、十分に見応えのある一本といえます。
